電子書籍に絡めた有料コンテンツの話題など、"ITmedia×津田大介「メディア志望の就活生が、今知っておくべきこと」クロストークイベント"まとめレポート その1

2012年12月12日水曜日 6:00



 現在私はこのイベントのタイトル通りの立場にありまして、幸いにも参加させていただけることになったので行って来ました。前にブロガーイベントで来たことのある会場でしたが今回はちょっぴり緊張。

ITmedia×津田大介「メディア志望の就活生が、今知っておくべきこと」クロストークイベント 12/6開催


このイベントではメディア業界や広告業界を志す就活生に向けて、以下のテーマについて
実際に現場の意見が伺うことができました。ITmediaの14年度新卒採用としては最初のイベントになります。


トークテーマ:「必要なのはコンテンツだけじゃない!」 

〜就職を考える今、知っておくべきメディア・ビジネスの要諦とは〜
第1部:メディアビジネスの最前線。〜メディアはビジネスとしてどう成立するか〜
第2部:メディアと消費者の変化。〜これからの広告、ビジネスモデル〜
第3部:今、メディア企業に求められる人材。

第4部 : アイティメディアってどんな会社?


パネリストはジャーナリストの津田大介(つだだいすけ)さんと、アイティメディア エンタープライズITメディア統括部長の石森将文(いしもり まさふみ)さんのお二方、司会は人事の浦野さんです。

 ところで最近、有名人の方をGoogleで検索するとWikipediaからプロフィールを引っ張ってきてこんな風に表示してくれるようになったんですね。


なんだかAndroidのGoogle Nowカードっぽい表示です。上には関連する人物もずらずら出てくるので流し見なんかもできて面白いですね。ブラウザのGoogle ChromeにGoogle Nowが組み込まれるなんて話も出てきているので、これからもっと色んな種類のカードが表示されるようになるのかも。

おっと話がそれました。

今回はイベントレポートということですが、実際に会場でちらっと聞こえた「レポートを見た人に役立つものを」ということと、付加価値(を含める)という意味も込めて、イベントでパネリストのみなさんが発言した内容を文字に起こすことを中心にしてみました。
また、個人的に大事だなと思う所は色付きや太字になっています。
非常にためになる内容ですので「Ustreamの長いアーカイブを見る時間が無い!」という方もこれを読んで参考にしていただければ幸いです。
メディア業界に対してまだ漠然としていた僕自身も大変参考になり、改めてレポートをまとめることで考えを整理することができました。(ぶっちゃけるとココで働きたいです)

それではイベントの中身です。
レポートは全4記事に分けてアップしています。

(注・各発言は意訳です。原文ままではありません)

第1部:メディアビジネスの最前線。 〜メディアはビジネスとしてどう成立するか〜


まず"現在のメディア業界で気になるビジネス上の変化/トレンドは何ですか?"という話題に関して。

津田さん
ナタリーを2007年にWebメディアとして立ち上げ、現在は政治を使ったメディアをビジネスにできないかと考えている」
「メディア企業に入るのも大変だが、メディアを立ち上げるのも大変」
ようやくネットの情報にお金を払う人達がでてきた
「新書ブームなど、今までも書籍みたいな情報のパッケージとしてわかりやすいものにお金を払う層はいた」
「現在はインターネット。堀江貴文さんが開拓した有料メルマガや、ダイアモンド社を退職された加藤貞顕さんの有料配信プラットフォーム"cakes(ケイクス)"、スマートフォンのアプリなど、勝負できる土俵が整ってきた」
「これを後押ししたのが"ソーシャル"(TwitterやFacebookなど)。興味を持って飛んできた人がすぐ買える環境」
モノ(情報)が売れる経路・マインドの変化が起きている


 「最近出した"ウェブで政治を動かす! (朝日新書) "は圧倒的にKindle版が売れている(セールしてるし)」
「ITmediaさんで言えば、ソーシャルからの流動経路、連動ということで"ワントピ"みたいなものを立ち上げたのでは」
メディアをやる環境がここ2~3年で変わってきた

→なぜここ2~3年で変わってきたのか

「3年前、2009年頃は鳩山首相がTwitterを始めた年で、ブームになった」
「パソコンでインターネットを使っている2、3人に1人が当たり前のコミュニケーションツールとしてSNSを使うようになった。ブームになる前は20人に1人ぐらいで、新しい物好きや変人しか使ってなかった」(私は2007年に始めました笑)
これらはメディアにとっては激変だろう

→人が増えるという事とお金を払う人が増えたのは相関関係として考えていいのか、また別の要素があるのか

「変わらないと思う(相関関係だということ)」
「インターネットには3%、5%の法則というものがある」
「無料の情報を有料化したときに人が残るのは多くて全体の5%、少なくて1%」
「堀江貴文さんのTwitterのフォロワー数は70万人、有料メルマガの会員数は1万2千人。フォロワー数から考えるとお金を払ってもらっている人のコンバージョンは2~3%ということになる」
「↑こんなことができる市場規模に(ネットメディアが)なってきた」

石森さん
「メディアの中の人として、情報の経路の多様化などここ2~3年の急速な変化を痛切に感じている」
"メディアをビジネスとしてどう成立させるか"を考えたときにそもそもメディアってなんだっけということに」
「現在36歳の私が、子供の頃のメディアってTV,ラジオ、新聞、雑誌だった」
「大学生になってもインターネットは少数派、つい最近までわりとそんな感じ」
「雑誌の編集の仕事を始めたが当時もまだまだネットは主流ではなかった」
「インターネットでメディアを始めたときは、結構新しいことやってるなって感じはあった」
「今では、ブラウザ上で文字を配信してるのは別に新しくないということに」
若い世代とそれ以外では、メディアと聞いて思い浮かべるものが決定的に違ってきてるのかなと」
情報に付加価値をつけて誰かに届けるというメディアの定義というか本質を考え直す必要を感じる

→考え直す切り口などは?

「紙じゃなきゃだめ、音声・動画じゃなきゃだめとかではなく、情報に付加価値をつけて読者に情報を届けるのが本質」
「新しいプラットフォームには貪欲に興味を示すべきだが、何か一つに肯定をしないというのが姿勢としては重要

→これまでユーザーからお金を払ってもらっていなかったウェブ上のメディアが、コンテンツに対してお金を払ってもらえることは今後あるか

石森さん
「ITmedia社内でも、若い世代はネットは無料という環境で育ってきたところがみられる」
「僕らの世代は雑誌を編集して読者に買ってもらっていたので、情報に価値を認めてもらってお金を払ってもらうことは、なじみやすいなと感じる」
「新しいプラットフォームに対しての理解は若い世代にはかなわないかもしれないけれど、情報にお金をつけるということに関しては果たせる役割が僕らの年代でもあるのかも」
「インフラも整ってるよね」

→大学生で、コンテンツにお金を払っている人はどれくらいいる?(ニコニコ動画の有料会員なども含めて)

会場
(7割ほどが挙手して「結構いる!」ということに)
ちなみに石森さんもニコ動プレミアム会員だそうな。

津田さん
「ニコ動が有料コンテンツを切り開いたところも大きいかも」
「ニコ動はアクセスが増えると無料ユーザーは見られなくなる」

司会・浦野さん
「観る人が多くないとできないモデルなのかも」

現在のメディア業界で気になるビジネス上の変化/トレンドは何ですか?

会場
「ソーシャルによって与えられる今後の影響」
「スマートデバイスの普及」
「電子書籍」

→日本のマーケットで電子書籍の可能性とは?

津田さん
「最近出した"ウェブで政治を動かす!"はKindle版(電子書籍)が書籍の5倍売れている」
「今まで求める声があっても電子書籍があまり出なかったのは市場性が無かったから」
5万本売れる書籍の電子書籍版は5万本売れるわけじゃない
「既刊本の電子書籍版ダウンロード割合は大体5~10%ほど(iOSが普及した時点での話)」
「なぜなら端末が普及していなかったから」
「KindleはiOS、Android、Kindle専用機など多用多種なプラットフォームで利用可能なので、ようやく市場性が出てきた」
「あとは価格が鍵」

石森さん
「紙の出版社さんからすると紙を電子化するというシンプルなイメージだと思うが、ネットメディアの僕らからするとネットのコンテンツを電子書籍化するイメージになる。」
「紙の出版社さんが電子書籍で、もしも儲けていくことができるなら元々ネットを軸足にしていたネットメディアがそこで戦えないというのは悔しい話」
「親和性が高いネットメディアのほうが電子書籍で儲けていくことができるんじゃないかと思ったりする」

司会・浦野さん
「インプレスさんは電子書籍にかなり注力していくそう」

会場の質問
「紙の質感に近づけていこうとする電子書籍に違和感。デジタルの本質は紙の書籍に近づけることではないと個人的に思う。電子書籍の概念をどこかで切り替えないと今後爆発的に普及しないのでは?」

津田さん
「2009年に出したTwitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)をアプリで電子書籍化した時にやったのは音声をつけたこと」
「DVDとかでオーディオコメンタリー的なものがあるが、これは本でもできるんじゃないかなと。本を重層的には理解するのに役立つかも、と。」
「書店では本が出たあとにトークショーなどを開催したりする」
「電子書籍は紙の書籍に比べて安いのが当たり前なんてイメージが付いているが、例えば電子版通常価格500円のところを1500円で売って、それがそのままトークショーのチケットに・・・なんて電子ならではのやり方ができるのでは」
「電子書籍には定額課金(定期購読)の可能性もある」

「弁護士の方と話をしたときに、事務所にたくさんある法律関連の本を電子書籍化したいと言う。なぜなら検索したいから」
データベースとして電子書籍が欲しい需要がある
「情報の流れが早い内容の書籍は電子書籍だとデータを更新できる
「"毎月定額で情報のアップデートが可能"、"本体は買い切り価格だが情報のアップデート時だけ有料アドオンとして売る"なんてことが電子書籍ならできる可能性がある」
「だけど、出版社の人間はデジタルに詳しくないし、電子書籍ならではの編集や売り方が練られていない。それに加えて市場性が無かった」
「↑これらがようやく解決してきたのが2012年。本当の意味での電子書籍元年は2013年ぐらいかなと思っている」

石森さん
「電子書籍は書籍(アナログ)に似せようとしすぎなんじゃないか~という質問だったが、別にそれはそれでいいんじゃないかと」
「電子書籍派とそうじゃない派が仮にあったとしても、どっちもコンテンツに対して価値を認めているというのは変わらない」
「情報の受け手が今欲しい情報を得るために色んな手段、技術を試行錯誤している現状はとても良いこと。むしろそうならないほうがヤバいのかも。」
「紙の本がいらない!というのではなくて、ただ電子の形で欲しいというのが現状」

津田さん
ネットの有料コンテンツで大事なのは多分定期購読の仕組み
「新聞社の人と話をしたときに、新聞はプッシュ型のメディア。お金を払うと毎日届くというのがポイントだと。」
「日本で発行部数が1位なのが読売、2位が朝日、3位が読売(〔原文ママ〕。正確には3位は毎日新聞ソース元)だが、これはそのまま世界1位2位3位となる」
「日本が圧倒的に高いのは宅配制度のおかげ。一回契約するとよっぽどのことが無い限り解約しない。会員登録して行かなくなるスポーツクラブと一緒(笑)」
新聞社が"お客はなぜうちの新聞を取っているのか"という調査をしたところ、"ただなんとなく"という回答が一番多かった。あまりにもヤバすぎて表に出せな(ry

「"既存"のメディアが一番良かったのは90年代半ば。音楽CDなどコンテンツパッケージが売れていたのもこの頃。そっから落ちていく。」
「雑誌が一番売れていたのもこれらの時代で、一番売れていた週刊現代は150万部出ていた。今では30~40万部程度」
「なんで落ちたのかというと定期購読では無いから。駅で買わないといけない。海外の新聞の発行部数が低いのも同じ理由。」
「地方の新聞社に呼ばれて講演をするときに今の発行部数と一番良かったときの部数を聞くようにしていて、ほとんどが落ちているがそれでも5%程度減」
「紙の情報だから、ネットの情報だから、記事の質がとかではなく、いかに定期購読のサイクルに取り込めるかがポイントなんじゃないか」
「ネットで定期購読(有料メルマガなど)のサイクルに引き込みやすくなったのはソーシャルの存在が大きいなと分析している」

石森さん
「会場で一人暮らしの方はどれくらいいますか?」

会場
(3割ほど挙手)

石森さん
「その中で新聞を購読している方は?」

会場
(1割ほど挙手)

津田さん
「テレビを持っていない人は?」

会場
(挙手は一人)

津田さん
「テレビは持っているのか。東工大で授業をやった時に聞いたら1/4ぐらいはテレビを持っていない/観ていない」

司会・浦野さん
「就活が始まったら日経を読めっていうキャンペーンがあって、それをほんとに信じてたりとか、面接の待合室で日経をみんなが読んでいて話題について行けないとダメみたいなのが昔はあった(笑)」

津田さん
「新聞の電子化が進んでいて、ネットで記事の途中まで読むと会員登録が必要とか出てせこい」
「なにがせこいって高い。紙の新聞を購読している人は追加1000円で電子版を読むことができるが、電子版だけをその1000円で読むことは、紙に影響があるからと言ってできない。結局3000円くらい取られる。バカかと。」
「最近良いなと思ったのは、読売新聞のヨミダス文書館というマイナーサービス。」

ヨミダス文書館 : データベース : YOMIURI ONLINE(読売新聞)




「月額1500円で1986年以降の新聞を全文検索することができる。これはイイ。」
「今までこういうのは企業向けしか無かった。1件検索すると100円とか。ヨミダス文書館は検索し放題」
「読売新聞はそのへんの価格破壊を起こした」

「今、ネットのGoogleが結構アテにならなくなってきている。特に10年前くらいの記事は本当に見つからない。」
「ITmediaはアーカイブを残してるからまだいいほう」
「だからこういうデータベースは重宝する」
「他の新聞社もやればいいのになあ」

司会・浦野さん
「メディア企業としてコンテンツを積み上げてきたからこそ、そこに付随してできるサービスですね」

津田さん
「アーカイブの価値が変わってきてる」
「自分がメディアを運営したりしていると、アクセスの流入経路が変わってきてるのを実感」
「4~5年前はほとんどGoogleからの検索だったが、今は2割程度。ほとんどがソーシャルからに移っている」
検索の意味合いや相対的な価値が変わってる

石森さん
「ITmediaも2年ぐらい前までは、いかにGoogleから引っ張ってくるかを考えていた」

津田さん
「SEO業者とか今後潰れる可能性もあるよね」

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ここまでが第1部:メディアビジネスの最前線。〜メディアはビジネスとしてどう成立するか〜の内容となります。イベントはここまでわずか30分ほどしか経過していません。とても内容の濃いイベントだということが感じて頂けると思います。

電子書籍の話題に関してはほんとにタイムリーな話で、ソーシャルの力含め、ネットの情報にお金を払いやすい環境や仕組みが整ってきたなとユーザーから見ても感じています。

その2に続きます。

メディア業界、ソーシャル、これからの広告の話、"ITmedia×津田大介「メディア志望の就活生が、今知っておくべきこと」クロストークイベント"まとめレポート その2 | Digital Grapher
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