2023イギリス&フランス旅行記3 ~2日目・ロンドン到着/ハリーポッター・ワーナーブラザーズスタジオ編~

   2023イギリス&フランス旅行記2 ~1日目・出国/乗り継ぎ編~の続き。ホテルにチェックインしてからロンドン市内を経由して、ハリーポッターのスタジオツアーを訪れるの巻。

3月15日(水)ヒースロー空港からホテルへ

 朝の機内食を食べてから再度消灯した機内、目の前にある眩しいディスプレイで飛行情報を確認する。14時間強の飛行を経て、ついにロンドン・ヒースロー空港への着陸が迫っていた。久しぶりに異国の地に足を踏み入れるワクワクよりも、狭っ苦しいエコノミークラスから早く解放されたいという欲のほうがこの時は強かった。

 お隣の窓際に座るフィリピーナマダムが前屈みにこくりこくりと眠っていたので、真ん中に席に座りながら気兼ねなく外の写真や動画をiPhoneで撮れた。海外にいるとシャッター音が消えるので暗い機内でも遠慮はいらない。飛行機の中から観る夜景は本当に美しくて好き。



 しばらくして無事に着陸。窓の外は雨。飛行機を降りてから到着ロビーまでの長い道のりをひたすら歩く。最初に見つけたトイレに長居した(妻が軽く着替えた)ので、気付けば周りは誰もいない。狭いエコノミーからの解放感がすごい。


 到着から入国までに空港内で時間がかかることを覚悟していたが、実際はすんなりと通過できた。日本を含む一部の国とEU加盟国は顔認証を使った自動化ゲートを利用できるため、有人による入国審査が無くなっている。機械にパスポートをかざしてカメラに顔を向けるだけ。ちなみにワクチンの接種証明も必要なかった。自動化ゲート利用の対象国ではない人たちの列の横を素通りしてスムーズに入国できるのは優越感、というよりも国際社会の厳しさを感じた。

 昔は英語で入国審査官とやりとりするドキドキがあったが、今は正直言って味気ない。でも便利ってそういうものだし、これが当たり前になっていくのだろう。昔に取り憑かれると、それは老害になる。

 スーツケースも比較的早めに出てきた。蛍光イエローとイエローのスーツケースベルトをそれぞれ取り付けていたのですぐ分かった。傷もなかったので一安心。近くにいたフィリピーナのお隣マダムに手を振りつつ、空港の駐車場に向かった。

 ロンドンでは、地下鉄ピカデリー線のラッセル・スクウェア駅最寄りにあるロイヤルナショナルホテルに滞在する。実は2014年にも泊まったことがあるホテルで、日本の旅行会社がツアーで組み込みがちな定番・巨大ホテルだ。ホテルのランクとしてはそこそこだが、大英博物館まで徒歩5分など、立地がすこぶる良いので観光にはかなり強い。


 ヒースロー空港からホテルまでは地下鉄(乗り換えなし約1時間、安い)やヒースロー・エクスプレス(15〜25分、高い)といった選択肢がいくつかあるが、重いスーツケースを持ってエレベーターがあるか分からない地下鉄駅を移動したくなかった。というわけで、今回の旅では空港〜ホテル間の移動は全てUberに任せるつもりだ。

Uberの運転が下手くそすぎた件

 ロンドンなら普通のタクシーを利用するという手もあるが、車両によっては現金しか使えない場合もある。その判断がとにかく面倒だったというのもある。

 日本だとUber Eatsのイメージが強いが、Uberといえば配車サービスだ。アプリ上で目的地の設定や決済まで全て完了するので、海外旅行においてこんなに心強い移動手段はない。自分はどこの国に行っても大抵はUberを利用している。

 本来であれば配車をリクエストした現在地まで迎えにきてくれるが、空港のような場所でリクエストすると乗車位置が予め決まっていることがほとんど。ヒースロー空港はShort Stay Parkingが乗降場所になっている。案内表示を見ながら進めば迷うことはない。

iPhone 14 ProでUberを利用すると、Dynamic Islandに車両のアイコンが表示されてかわいい

 送迎をリクエストすると、早朝にもかかわらず自分たちを運んでくれるドライバーがすぐに決まった。画面に表示されたナンバープレートの車が現れたところで「ハロー」と手を上げて話しかける。車両は小さめのセダンでトランクにスーツケースが2つ入らなかったので、後部座席の片側を倒してもらった。自分は助手席に乗る。


 朝日が眩しい道をホテルに向けて走り出す。


 助手席に座るとドライバーと雑談になる場合が多い。この時は11日間でイギリスとフランスに滞在すること、この時間帯はロンドン市内への通勤の車が多くて渋滞すること、明日はカーシェアで車を運転すること、イギリスは日本と同様に赤信号で左折(米国でいう右折)できないことを話した気がする。

 とまぁ途中までは順調だったのだが、市街地に入ってからこのUberの運転手のアクセルワークが本当にひどかった。速度の調整にアクセルを連打するものだから、車はカックンカックンと小刻みに前後に揺れる。特にロンドン市内は基本的に荒い運転が標準なので、みんな他の車に負けないように激しく運転するしクラクションも鳴らしまくる。

 妻は乗り物酔いしやすいタイプなので薬も持ってきていたが、まさか一発目のUberがここまで酷い運転とは予想しておらず服用していなかった。途中でドライバーに「優しく運転して、彼女が酔ってる」とお願いしたところ、「ソーリーソーリー」と配慮してくれた。その後も荒い運転は続いたが……。それでもUberの画面を見ると高評価ドライバーになっている。海外の感覚は分からない。

ホテルのアーリーチェックインを狙っていくスタイル

 (主に妻が)苦しみの約50分を乗り越えてホテルに到着。この時、朝の7時半。チェックイン開始は15時。本来であればチェックインの時間までスーツケースを預かってもらって観光に出掛けるのがセオリーだが、こちとら14時間のフライト後でヘトヘト。着替えたいし、シャワーだって浴びたい。

 そこで、ホテルのフロントに「早めにチェックインができないか」と相談してみると、問題なく了承してもらえた。ロイヤルナショナルホテルは1000室以上あるので、準備ができた空室なんていくらでもあるだろうと踏んでいたが、予想通りだった。あくまでこれは善意で、当たり前ではないと謙虚にいきたいが……。ぶっちゃけ早朝到着でそのまま観光なんて無理。アーリーチェックインできるという前提で来た。存分に甘えさせていただく。もしアーリーチェックインできないなら、せめて着替えの算段を立てた方がいいだろう。

立地とデカさに全振りしたホテルなので、景色というものはない

そこはクレカのタッチ決済が普及した先進国

 時刻は午前8時15分。ここ数年でトップクラスの爽快さを感じられた温かいシャワーと新しい服に身を包んだら、少し休憩してさっそくロンドンの街に繰り出すことにした。今日は午後からワーナーブラザース・スタジオツアー・ロンドン(メイキング・オブ・ハリーポッター)に行く予定なので、昼過ぎには目的地までの電車に乗る必要がある。

 それまでのわずかな数時間を使って、まずはロンドン塔とタワーブリッジ周辺を見てまわることにした。ロンドンは日本と同様に公共交通機関が発達していて、Googleマップで目的地を設定すれば効率的な地下鉄とバスのルートがすぐに出てくるのでとても便利だ。

 ロンドンでバスや地下鉄に乗るなら、SuicaやPASMOのように使えるプリペイドICカード「オイスターカード」が定番だ。駅でチャージして使うタイプで、2014年の旅行でも活躍した。しかし、今回はその時のカードを日本に置いてきた。ここ現地でも買うつもりはない。

 ロンドンではクレジットカードのコンタクトレス(非接触)決済がかなり普及していて、クレカが使える店はほぼタッチで決済が完了できる。そしてバスや地下鉄もコンタクトレスで乗車可能だ。

 事前にクレカをiPhoneのエクスプレスカードに設定しておくことで、バスと地下鉄は画面点灯させることなくタッチで乗車できる。

Insta360 ONE RS 1-Inch 360はどんな場面でも撮りやすいなぁ

 反応も悪くない。ジャパニーズ通勤ラッシュには耐えられないスピードかもしれないが、ほとんどはこれで十分。日本でも一部の路線で実証実験が始まるということで、今後普及するスタイルになりそう。どうなるFeliCa。

ロンドン塔とタワーブリッジを散歩

 ホテルを出てちょうど、社会科見学の子供たちが街に繰り出したところに遭遇してしまった。ホテル前のバス停は人でいっぱい。こりゃ何本もバスを見送ることになりそうだと考えていたら、どうやら目的地は違ったようでなんとかスムーズに乗れた。


 こちらがロンドン塔。ナウでヤングな世代なので外観だけでお腹いっぱい。写真に写る3頭のライオンはここに住んでいた王様が飼っていたやつかな。今回の旅で導入した24mmのレンズ「SEL24F28G」の描画力に感心した1枚。


 タワーブリッジは、この直線と


 この曲線が非常に何かを刺激する。たまらん。色も良い。


 橋の上では、なぜか通過する車がクラクションを鳴らしていた。ストライキの一環かなと思ったら、車が通る度に社会科見学の子供たちが手を振って歓声を上げていた。これにドライバーが反応することでフロアの盛り上がりは最高潮(ピーク)へ……。子供の“謎”盛り上がりは世界共通だしみんなノリが良い。


 橋を渡り終え、再びバスでホテル付近まで戻ってきた。蜘蛛のオブジェが普通にキモい。深夜に動くらしい(テキトー)。


 街の至る所には「Mayor of London」と書かれた給水所が設置されている。ボトルを持ち歩いてペットボトルの消費量を減らしましょう的な感じだろうか。ロンドンはこれで持続可能都市ランキング上位の座を獲得している。


 時刻はあっという間に昼前。本当は大英博物館の正面にある「Camellia's tea house」というお店でアフタヌーンティーを楽しむ予定だったのだが、当日はあいにくの休業日。というわけで早めに駅に向かって移動して、その場でランチを考えようという流れに。ホテル最寄りにあるスーパーのウェイトローズに寄って飲み物をゲットしつつ、徒歩でユーストン駅へ。

 ユーストン駅周辺の道路では、ストライキの軍団が道路の真ん中で大声をあげて抗議活動。それに賛同する車がクラクションを鳴らしていて、とてもうるさかった。


メイキング・オブ・ハリーポッターまでの道のり

 本日のメインイベントであるワーナーブラザース・スタジオツアー・ロンドン(メイキング・オブ・ハリーポッター)に向かうには、ウェストミッドランズ線を使ってユーストン駅からワトフォードジャンクション駅に向かう。ロンドン中心部から離れているように見えるが、電車15分ぐらいの距離。ロンドン市内からバスで直接行けるツアーなどもあるそうだ。しかし、帰りのバスの時間が決まっていて意外と融通が利かないらしいので、個人的には電車で向かうことをおすすめしたい。自由は正義。
 

 この路線でもクレカのコンタクトレス決済で改札を通り抜けようと思ったが、なぜかタッチするところにリップルマークが無くて非対応のようだった(オイスターカードオンリー?)。列車の出発時刻が迫っていたこともあり、慌てて近くにある券売機で切符を購入。目的地の駅名をソフトウェアキーボードで入力するのが面倒だったが、無事に乗り込むことができた。

 ワトフォードジャンクション駅に到着すると、ホームや通路のいたるところにハリーポッターのマークがあった。そして改札には切符を通すところがなく困惑。まわりのティーンエイジャーも困っていたようだが、最終的にみんな気にせず改札を通過することで解決した(?)

 駅前にはワーナーブラザース・スタジオツアー・ロンドン行きのラッピングバスが停まっていて、入場チケットを見せると無料で乗せてもらえる。

 家族連れやオタク女子軍団などさまざまな客層を乗せ、バスは目的地へ。わりと住宅街の中にあるようで、普通の路線バスに乗っているような感じ。


 良い色じゃ……。



メイキング・オブ・ハリーポッターに入場

 バスを降りると、まずは杖のオブジェがお出迎え。みんな記念撮影をしている。まわりは駐車場に囲まれており、現地民は自家用車で来ている人が多かった印象。

(ネタバレにならないようにさらっと書く)


 この施設は時間指定の完全予約制なので、チケットの購入や入場に混雑はない。ちなみに2012年3月オープンで11年が経過しているが、いまだにチケットの予約は困難を極める。我々も日本を発つ前の3月頭に公式サイトでチケットを予約しようとしたが、カレンダーを見ると2カ月先まで予約は全て埋まっている状況。

 しかし、ハリーポッターにどハマりした妻の強い希望もある。せっかくロンドンに行くからにはココを外すわけにはいかない。というわけで日頃から予約サイトをF5アタックチェックしまくっていたところ、たまたま空きが出て予約をねじ込めた。キャンセル料が発生する前のタイミングでキャンセルする人がいるのだろう。かなり奇跡的だったと思う。

 ネタバレになるので詳細は避けるが、ここは「スタジオツアー」という名の通りアトラクションではなく美術セットの展示が中心となっている。ある意味、かなり現実的な映画撮影の裏側を見られるので、ディズニーランドのような夢と魔法の世界を期待してはいけない。


 キミ、そんな感じで光っていたのかーい。


 エリア内には所狭しと小道具が展示されている他、劇中に登場する部屋が再現されていたり、無料でもらえる冊子に押していくスタンプラリーが設置されていたりする。入り口では日本語対応のオーディオガイドも借りられるので、より深く解説を聴きたい人にはぜひおすすめしたい。


作中に登場する魔法がどのように(科学で)作られているかの実演。魔法が弱かったか?












 これらを全て思う存分ガン見できる。

 展示の途中で現れるフードコートでは、ポピュラーな軽食の他にバタービールとバタービール味のソフトクリームが楽しめる(待ち時間が短い専用レーンに並ぶのをおすすめ)。妻は炭酸がダメなのだが、私が間違って2人分を購入してしまったので2杯飲んだ。責任感。

 結果から言えばバタービールは1人で2杯飲むものではない。美味しいのは最初の一口二口だけである。ビールと一緒で、冷静に飲むとマズイ。


 ロゴ入りの透明カップは持ち帰りOK。洗うのはフードコートのトイレではなく、順路通りに外に出た左手にある水道がおすすめ。水分を拭く紙ナプキンもたくさん置いてある。









 ハリーが寝泊まりしていた階段下の物置。自分も子供の頃に押し入れで寝るのが好きだったので親近感がすごい。


 箒に手をかざして「アップ!」と言える体験ゾーンがあるが、自分の番でなかなか箒が上がらないという“イジり”を受けた。並んでいる人みんなに笑われてちょっと楽しかった。


 このおじさんがそばで箒に魔法をかけている。いつか魔法で仕返ししようと思う。


ホグワーツ特急の中にも入れる

 展示の他にもグッズショップ(物価……)などもあり、ハリーポッターファンでロンドンを訪れるなら、欠かせないスポットであることは間違いない。所要時間はお土産もじっくり見て4時間ほどだった。チケット予約はかなり厳しい戦いになるので、数カ月前からの作戦立てをおすすめ。

一日の終わりにフィッシュ&チップスを味わう

 ハリーポッターの世界を楽しんだ後、ユーストン駅に戻ってきたのは20時半過ぎ。今日の夕食はホテルから徒歩5分ぐらいの場所にあるフィッシュアンドチップスの有名店「North Sea Fish Restaurant」に決めていた。


 ここはテイクアウト注文の窓口とレストランが併設されている。今日は歩き疲れてしまったのでホテルでゆっくり食事をしたい。21時の閉店ギリギリになってしまったが、店員のおじさんにポピュラーなフィッシュアンドチップスと魚のムニエルをオーダーした。特にムニエルはレビューサイトに載っていた写真を指さしながらオーダーしたのだが、これ実は隣のレストラン用メニューだったのかもしれない。他の店員さんやオーナーっぽい人がわらわら集まってきて、何の魚か議論しつつも、しっかりと持ち帰り用の容器に美味しそうな状態で入れてくれた。


 他にもフィッシュアンドチップスにビネガーをかけるか丁寧に聞いてくれたり、ポテトにかけて味見させてくれたり、魚に合うディップソースもサービスしてくれた。素晴らしいホスピタリティだった。これだから海外旅行はたまらない。お味も大変満足。

 滞在初日はとても満足のいく1日となった。しかし日頃の運動不足が原因なのか、この日から腰と足の痛みに悩まされ続けることになる。続く。

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